こんにちは、オサナイです。今回はふるさと納税の事務局として半年間従事していたな中で気づいた、事業者側にとってのふるさと納税のメリット、デメリットについて紹介したいと思います。
なお、一般の人がふるさと納税で寄付する際の話ではないのでご注意ください。
私ふるさと納税の事務やってました
初めてこの記事見る人のために、少し自分のことを紹介。私オサナイは、沖縄県の国頭村というところで2020年の4月〜11月までふるさと納税の事務局として務めました。主な仕事として返礼品のライティング(寄付ページ作成)や写真撮影・編集、生産者と連絡しての在庫調整などを行いました。

その経験を踏まえて述べます。
なお、自治体にとっても異なると思いますので、その点はご了承ください。
ふるさと納税はECに近い
まずは事業者側から見たふるさと納税の話(って私は事業者側ではなかったですが、、、)
ふるさと納税と言えば、一般的には寄付をすることで寄附金控除が得られて、その上地方から素敵な返礼品(主にお肉や農産物など)がいただけるお得な制度です。
ところで生産者から見たらどうなんでしょうか?これはEC、つまりネットストアに近いです。
Amazonや楽天、Yaoo!ショッピングと同様、ふるさと納税にもふるさとチョイスやふるなびなどの各種ポータルサイトがあります。そこに○○町、○○村と言う店舗が存在し、そこに返礼品と言う名の商品が出されます。事業者は店舗である自治体が受けた注文に合わせて商品を発送します。
ふるさと納税特有の寄附金控除などの手続きはに自治体や事務局が行ういます。なので事業者から見たらふるさと納税も通常のネットストアとほとんど変わらないと思います。
と言うことで、ここでは”ふるさと納税はECに近い”と言うことを念頭に置いて、生産者側にとってのふるさと納税のメリット、デメリットについて触れたいと思います。
生産者にとってのふるさと納税のメリット
メリット1 事務局(役所)がサポートしてくれる
ふるさと納税は行政の事業なので、自治体または自治体から受託している事務局が商品の文章やテキストなどを編集し、商品紹介に必要なページを作ってくれたりします。そういったのが苦手な年配の農家さんなどは大助かりでしょう。
通常のネットストアなら自分でページを作るか、カメラマン付きで業者に委託するなど、時間的、金銭的負担が伴いますが、それがないのは大きなメリットです。
メリット2 送料の負担がない
私が業務を行っていた沖縄は配送料がやはり高いのですが、ふるさと納税の場合は送料分を役場が負担していました。
正確には皆さんからの寄付金のうち10%程度が送料になっています(ちなみに、ざっくりのイメージですが、50%は自治体(うち10%程度送料等)、30%は生産者、10%が事務局、10%がポータルサイトぐらいな感じです。)

通常のネットストアはもちろん自社で負担しなくてはならない送料を自治体が持ってくれる、と言うことで生産者にとっては非常に良い面だと思います。
メリット3 ECを一から始めるよりもSEOの面で有利
SEOって何?って方へ。Googleの検索で上位に表示されるための力、みたいなものだと思ってください。
ECなどのWebのページは、作った当初から検索でバンバン上位に表示されることはありません(細かいところは省略)。しかし、ふるさと納税なら、○○村、○○町と言う既存の店舗に出す形になります。すでに店舗があるところからスタートされるし、自社だけで作ったページよりは検索されやすいし、アクセスそのものも最初から少しは稼げると思います。
メリット4 イメージが良い
ふるさと納税は行政の事業ですし、良いイメージを持たれることが大半ではないでしょうか。また、ふるさと納税で出している農産物、と言えば自治体の”お墨付き”のようなイメージも出て、ちょっと箔が付きますね。
生産者にとってのふるさと納税のデメリット
デメリット1 自治体及び事務局に依存する
先ほどの自治体または事務局がやってくれるメリットの裏返しです。
先方がサクサク商品ページを作ってくれたりすれば良いのですが、そうでない時があります。ふるさと納税で出したい返礼品は、他にもたくさんあり、対応が順番待ちになったりするからです。
ネットストアで事業者に委託する場合はそうなりません。期日までにページを仕上げてくれます。相応のお金を支払っているからです。
あとちょっと文章を編集したい、みたいな時も自治体または事務局に連絡しなくてはならず、少々煩わしい面があるかもしれません。
デメリット2 データが取れない
私も自分のお店でECサイトを作りましたが、商品の売れ行きと同時にSNSなどの流入経路やリピーターと新規の割合などデータを気にしています。今後の店舗運営のヒントになる情報が詰まっていたりするからです。
しかし、ふるさと納税で商品を出したとしても、そのデータは自治体または事務局のところにデータが集まり、そこから生産者に渡るのは困難です。
・私はデータで欲しい、紙で欲しい、
・私は地域別のデータが欲しい、年齢別のデータが欲しい。
データのニーズに対して、費用が発生しないので無限大に求められることがあります。また行政の事業なので、公平性の観点から特定の事業者にだけ情報を提供するのがどうなのか、と言う問題もあります。
結果、データはあまり提供されません。ふるさと納税がECサイトへのきっかけにならず、単なるおまけの売上にしかならなかったりします。
デメリットへの対処
「デメリット1 自治体及び事務局に依存する」については対処は明確です。まずはSNSを使い、写真や文章をまとめて自分でPRするところから始めましょう。
特に農産物はシーズンにならないと綺麗な写真も取れないし、食べることもできません。事務局としては非常にやりづらいです。こんな時にSNSやHPがあって文章や写真がまとめられている生産者さんは、生産者じゃない側の目線を常に意識している、これは人気になるだろう、とよく思っていました。
「デメリット2 データが取れない」に対してはほとんど対処しようがないです。せめて自治体及び事務局とコミュニケーションを取り、最低でもメールアドレス、そしてSNSのDMやメッセンジャーが使えたりするとデータを共有しやすくなります。
結論 がんばりましょう
メリットに書きましたが、ふるさと納税って本当に事業者のビジネス面で言えば、とってもおいしい制度です。利用しない手はありません。
しかし、自治体及び事務局に頼っていると、あまり寄付は伸びません。そして何より楽な分、自分の返礼品を選んでくれる寄付者の気持ちをついつい忘れてしまいがちです。
寄付者は頑張っている生産者を応援したいもです。対して生産者側にできることは寄付者の気持ちを組み、求められているものを様々な形で提供することです。
がんばりましょう。